ナノ粒子って何ナノ?

最後に残るディーゼルの弱点

アメリカでナノ粒子規制の検討が始まった。ナノ粒子とは何か?
2003年にベストカーの達人コラムで書いた記事をアップしておきます。

低硫黄軽油の流通や、DPF(排気ガスフィルター)の装着義務化が開始されるなど、最近ディーゼルエンジンに関して明るい話題は多かった。もしかしたら日本でもディーゼルエンジン復権さえあるんじゃないかと思えたほど。しかし、である。ここにきて致命的になるかもしれない大きな問題がクローズアップされ始めた。いわゆる「ナノ粒子」と呼ばれる物質の存在だ。以下、無い知恵を絞って解りやすく解説してみたいと思う。

一般的に黒く見えるディーゼルの排気ガスは、10ミクロン(現在ミクロンという単位は正式でないが使います)以上のサイズを持つ。10ミクロンと言っても解りにくいだろうから、1ミリを全長10mのクジラだとすれば、全長10cmの金魚である(このスケールに当てはめると花粉はニジマスサイズ25~50cm)。こいつを網ですくってやれば、いわゆる『PM』(パティキュレート・マター)と呼ばれる黒煙は見えなくなる寸法。臭いも大幅に減ると考えていい。

ところが微粒子の計測技術の進歩により、もっと細かい粒子も出ているらしいぞ、と言われ始めた。実際、計測してみると、多いこと多いこと! 恐ろしいことに人体の有害なのは、こういった微粒子であるという研究結果も出始める。そこでアメリカは『PM2,5』と呼ばれる、2,5センチのメダカ級粒子まで規制することを発表。さらに細かい粒子を計測する技術が確立した現在は、50ナノメートル以下(ナノ粒子と呼ぶ)まで論議されるようになってきた。

このサイズ、1ミリを10mのクジラだとすると、ノミである。ミクロン単位のPMは肺の外側に付着するだけだけれど、ナノ粒子になると肺胞をそのまま通過。ダイレクトに血液に混じり込むから恐ろしい。身体中を回っちゃうワケ。結果、アレルギーを起こす「igE抗体値」が徐々に高くなるようだ。個人差あるものの、花粉症やアトピー性皮膚炎、ゼンソクを発症する、と最近多くの研究機関が発表している。ワタシも遠くないウチ、花粉症か。

興味深いことにガソリンエンジンからもナノ粒子は出ている。ところがラットを使った実験によれば、ディーゼルエンジンの排気ガス(規制値の10倍)だと発症し、ガソリンエンジンだと問題ないのだという。化学の専門家に聞きてみたら「ディーゼルエンジンから排出されるガスの方が複雑で長い分子構造を持ってます。ガソリンエンジンの排出物は自然界にあるような簡単な分子構造だから、生物にとって有害でないのかもしれませんね」。

困ったことにナノ粒子を除くことは難しい。軽油の低硫黄化も、ナノ粒子の削減と関係ないと言われるし、コモンレール直噴に代表される燃料の高圧化を行うと「むしろ軽油の粒子が細かくなりナノ粒子は増加する」と言われるほど。ちなみにナノ粒子が人体に与える影響は本格的に研究され始めたところで、もし「有害」と判定されれば、即座に世界的な規制が始まることだろう。

じゃディーゼルエンジンを使うような大型車輌はどうすればいいか? 今のところ対応策が二つある。1)CNGと呼ばれる圧縮天然ガス(気体)を使うか、2)天然ガスから作ったGTLと呼ばれる液体燃料か、だ。いずれも本格的に流通するようになれば安価だしクリーン。特に2006年くらいから流通し始めるGTLは有望。ナノ粒子問題の行方次第では、軽油代替燃料の本命になるかもしれない。

ベストカー2003年より

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