空洞化と現地調達率

昨日のTOPで書いた現地調達率について追記を。大雑把に「50%」と書いたけれど、これは全世界の工場の平均値のようなもの。ホンダのアメリカ工場のように、もはや限りなく現地調達率100%に近いケースも出ている。また、調達率は金額ベースか部品数ベースかによっても異なるため、あえて一般論としました。

いずれにしろ「海外に工場進出すれば日本から部品を輸出するという商売が出来た」という今までの図式を紹介した次第。中国の問題は日本より安価に部品を作れてしまうという決定的な違いを持つ。実際、すでに中国やタイに代表される海外生産の部品は日本車に多く採用されている。皆さんどのくらいだと思いますか?

初代から中国製の部品を積極的に採用しているフィットの場合、現行モデルは20%弱! 次期型になると40%近い海外からの部品(日本より安い調達先という意味。中国に限らず)を使う計画だという。ホンダより積極的なのが日産で、日本専売車に近いキューブですら30%近いそうな。平均して20%程度らしい。

考えてみればエクストレイルのショックアブソーバーも韓国製。フーガのような高額車のワイヤーハーネスすら中国製。ホンダや日産に限らず、どこのメーカーも今後海外からの部品調達を伸ばしていく方針を打ち出している。中国工場での生産車種が増えればエンジン部品だって外国製が当たり前になる?

一方、昨日のTOPに寄せられたコメントは楽観論が案外多い。アリとキリギリスの逸話に例えれば、キリギリス派の人の多さに驚きました。いつも「この人の見識は高いですね」というコメントを寄せて頂く方は、やはり現状認識をキッチリされているアリ派です。アリはキリギリスを批評しませんが、その逆は多い。

アリはキリギリスに意見を述べてもムダだと思っているからである。キリギリスは自分の悪さをどこかで認識しているため、アリ派を攻めたくなるのだろう。「中国通貨も高くなる」とか「コストの問題だけでは空洞化など起きないので心配ない」とか……。レーバーコストと自分の給料の区別を付けられない人までいる。

今後増産されるクルマの大半が間違いなく外国(中国に限らない)での雇用を増やすだけになるし、日本で生産されるクルマの部品も急速に外国製に切り替わっていく。もちろん超円安といった神風を待つのもいいですけどね。ちなみに中国の景気が折れたら、日本も共倒れになることは認識していた方がいい。

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13 Responses to “空洞化と現地調達率”

  1. いひゅもん より:

    楽観論、悲観論両方有って当然だと思いますが、殆どの日本人(含む政治家)は考えてもいないのでしょうからせめてこれらの意見を読んで考えてそれが次の国政選挙なり何等かの国民の意思表示に繋がることを期待すると言う超楽観論は無理でしょうね!
     皆さんご存知だとは思いますが、現在あのモーターリゼーション先進国で車大好き国民の英国には実質的には自前の自動車メーカーは既に無くなってしまいました。人件費が高いことだけが要因では有りませんし、勿論、日本と同じ環境・条件ではないのですが、日本もいつかは英国の様に国産自動車メーカーが無くなってしまうのかも知れないとまで考えてしまいました。
     その時は、政治・経済・国民意識まで英国風になれば未だ救われる気もしますけどね。

  2. Ito より:

    私はむしろ円はまだ安いと思います。各国のインフレやデフレを考慮すると80円くらいがいわゆる理論値じゃないでしょうか。
    120円とかいうレートが異常だっただけだと思います。
    むしろ、あまり円安になると、日本の将来は厳しいと世界市場から見放された感じだと思いますが。
    日本はアメリカから数十年遅れたブームがやって来ますので、本格的なライセンス供与型のビジネスが普及するんじゃないでしょうか。
    特に、電気自動車時代になると、生産にはいままでの擦り合わせ技術はあまり重要でなくなるので、超高性能を支える部品で売上の数十%のライセンス料をとって、海外生産にするようなビジネスになるのではと思ってます。
    自らはR&D機能しか持たず生産は丸投げというビジネスは米では珍しくありません。
    それがいいかどうかは別ですが。

  3. lucky より:

    いつも、拝見させて頂いています。
    仕事と収入があって、この生活が有ると言う事ですね。
    最近、トヨタバッシング多いですね、気の毒に思います。
    発展途上国?にトヨタが新規工場のお願いをしたら、ハイブリット車を作らないなら、建設は認めないと、言われたそうです。
    ずば抜けた技術を持つと、変な問題を押し付けられてるみたいです。

  4. pow より:

    5~6年前、自動車部品の工場をあちこち見る機会がありました。日本車の部品を海外工場分までつくっていて、当たり前に思いましたが、MBやVWの部品まで作っていたのには驚きました。日本から輸出しても部品ならまだ利益が出ていたのですね。海外生産工場に納め、海外メーカーにも食い込む、そんなビジネスだったとは、未熟者の私は今気がつきました。
    その部品産業が苦しくなると、雇用に大きく響きます・・。
    あと、電気自動車にもすりあわせ技術は必要ですよ。
    私はモーター業界にいますが、高性能仕様は今でも熟練技能者が一つ一つ調整して作るし、量産物の加工部品も重要部は微妙な調整制御の元に生産されています。燃費良く、走りの良いモーターはやはり、今のように、チューニングの力によりつづけると私は思います。

  5. 小林 英弘 より:

    自動車産業は日本国にとって極めて重要な産業です。それが企業の利益主義の論理による海外への生産拠点の移転=国内の空洞化が進むのはやはり問題だと思います。例えば…というかこれは極論で「例えば…」にはならないかも知れませんが、軍事産業。ここではもちろんコスト最重視ですし生産性も最重要視されますが、どの国も「有事」に備えていつ何時でも100%完全自国生産できる体制を確保した上で、平時は各種納入企業のコスト主義を容認(黙認?)しています。具体的には、米国では戦闘服やブーツ等を平時は中国なんかのコストの安い国でライセンス生産させて輸入してますが
    、いざ戦争!となればそれらの製品を100%米国内の米国企業が生産&納入できる体制を取ってます(例えば米軍正式拳銃のM9も元々はイタリアのベレッタ社製ですが、今はベレッタUSAが生産&納入しています)。なぜか?簡単です。もし中国と戦争になったら?です。日本も、いまだに軍事の世界では「二昔前の旧式ライフル」と揶揄されながらも89式自動小銃を生産し続けているのも、「それ」が判っているからでしょう。少なくとも軍事部門では骨の髄まで平和ボケしてる訳ではないんですね。…じゃあその考えを経済や産業の面でも生かしてよ!と言いたいですね〜少々マニアックな話でしたか?(笑)

  6. HK より:

    初めての投稿ですが、毎日HPを拝見させて頂いている自動車産業関係者です。
    国沢さんの指摘は概ね日本の製造業が抱えている課題の本質を突いています。ベストセラーである「フラット化する世界」を読めばキリギリスの方々も理解できると思いますが、世の中には避けて通れない競争環境の変化というものが時に発生します。
    自動車産業で言えば、レイバーコストが安価な国で作った部品を使う、レイバーコストが安価で教育レベルが高い国に開発拠点を置く、もしくは開発を委託する、レイバーコストが安価な国で車を生産し日本を含む先進国に輸出する、といったことが日本のメーカーにとっても不可避な環境になりました。やりたくないとか、やれないというスタンスで経営すれば競争から脱落します。なぜならやってるメーカーには絶対に勝てないからです。そしてやっているメーカーが実際に存在するからです。日本だけを見て、日本の常識だけで物を考える人達には想像がつかない世界なのでしょう。
    なぜ日本がこのようなのんきで危機感のない国になってしまったのか?私には正直言って分かりません。ここまでネットに情報があふれ、世界中の優れた書籍が容易に購入できる環境においてキリギリスでい続けることのほうが困難だと感じるのですが。

  7. なんかいよいよ厳しくなってきたなと思ってます。
    身の回りのモノ、悉く海外製ですよね。
    そして工場閉鎖が相次いでいる。統合やリストラ。
    自動車もいずれそうなるのかと思うと背筋が凍ります。
    みんな海外に移転したら国内で何するんだろうと・・・

  8. T.K より:

    いつも拝見させて頂き、いろいろなご意見を参考にさせて頂いています。
    本日のTOP、先生の強い危機感が表れでしょうか、なかなか厳しいご指摘もありますね。
    ところで、マスコミでは、「電気自動車になれば誰でも(既存の自動車メーカー以外でも)
    作れる」みたいに言われますが、果たしてそうでしょうか?
    国沢先生みたいな方にきちんと分析、解説していただけたらいいなと思います。
    ちなみに私は、「違う」と思っているのですが。

  9. かなやま より:

    零細企業を経営しています。年配の先輩方には、”日本をどげんかせんといかん病”の方々が多いですが、民間企業の株主や経営者からすれば利潤追求がファーストプライオリティーであり、工場の海外移転や部品の調達にの意思決定は経済合理性が指標となります。
    日本をどげんかせんといかん病な方々は何を持って日本企業とするか?という概念が曖昧な気がします。創業者が日本人だろうが、社長が日本人だろうが、本社が日本にあろうが、グローバル化し単一化する世界において、企業の国籍など無意味です。
    もちろん、私も近隣や日本の景気が向上することが望ましいと考えますが、じゃ日本ってなによ?という概念も、また曖昧な気がしています。
    リスクテイカーとなって合理的に海外進出するHONDAの株を買うか、トータルでは不利なパッケージとなっても、政治圧力で日本に工場をキープするよう働きかけるか、となれば個人としては圧倒的に前者となるべきだと考えます。
    国沢師匠の前の記事にあったように、世界一早く、クルマの自動運転を許容し、高付加価値製品を生み出す技術立国として日本企業に有利なインフラを提供することが政府や役人の仕事だと思うのですが、どうでしょう?

  10. hide より:

    自動車関連の会社の経営をしています。実際に純正の製品を作っている会社さんも知っていますが、皆さんずいぶん前から中国に現地法人を作ってそのまま現地の日系大手自動車メーカーに納品しています。
    最近は日系以外の純正の販路も視野に入れているようです。考えてみれば当たり前のことですがね。
    日本うんぬんかんぬんよりも、自分の企業、そこで働く社員までを守るのが最優先であり、そのためには経済合理性にそうのが必然だからです。
    経済合理性に逆らった方向に行くことはその企業の死を意味するというのが実感です。これはトヨタのような巨大企業であっても例外にはならないのは、昨今のGM等の結果をみればあきらかではないでしょうか?
    つまり、企業に日本にいてほしいのならば日本にいることが経済的に合理的であるという選択肢、提案を国が出さない限り、水が低い所に流れるようになるしかないと思います。

  11. HK より:

    日本の自動車産業は本当に過酷な競争時代に突入しています。家電業界が韓国に負けたのはデザインや価格、販売戦略だと思っている日本人が多く(ほとんど?)いますが、それは遠い昔の話です。SONYの研究者と06年に話した際に聞きましたが、「液晶パネルは技術的にサムソンに全く勝てる目処がない」とこぼしていました。これから激戦に突入する3Dテレビも、世界では日本勢が韓国・台湾に技術面で勝てる可能性が低いと言われていることを日本人は知りません。マスコミ報道を見ても、マスコミは理解していないように見えます。
    日本の自動車産業は品質と価格戦略で一定の地位を築き、ブランド戦略で先行する欧州勢を突き上げる立場を確保してきました。これからは韓国や中国・インドのような新興国が日本のポジションに大きく入り込んできます。韓国は品質で日本に並ぶまでになり、新技術は国家戦略でキャッチアップを狙っています。品質改善においては日本の自動車メーカーOBを大量に雇用したことも有名です。日本の自動車メーカー自身の努力と国家戦略の両方がそろわないと、自動車産業も家電産業と同じことになるという危機感を自動車会社の経営層は持っています。

  12. samine より:

    産業の前線からの声は身につまされますね[E:bearing]。現場の努力がありながら、現実に日本は衰退にむけて加速しているのですね。
    これには偏に、国沢さんが「キリギリス」と呼ぶ国や役所の愚行や無策があるのでしょう。中国も韓国も国家戦略はありますが、日本は無いのでしょうか?
    今年は日米(新)安保発効から50年です。あの頃は、それはもう日米新安保条約に対する国民や学生の抗議デモや暴動で日本中が大騒ぎだったそうですね。あの頃は日本の軍国化や対米隷属を本気で心配し、国民が傲慢な政府の施策に立ち上がって反抗したんですね。
    今はその頃の情熱は何処へやら、国民も日々の生活に追い詰められて気力を失い、政府は政府で、自民党の腐敗した独裁政権は終焉したものの、代わりにやってきた民主党は口先ばかりで、トップの腐敗度合いや下劣さだけは自民党にも劣らず、国民にとっては願いでも何でもないことばかり(例:外国人参政権問題)企んで、肝心の国の施策は置き去りにされたままです。
    国沢さんは「アリ」と「キリギリス」しか頭に無いのですか?私は国民は獰猛な「虎」でいて欲しいと思います。どうやら先進国というのは、欧米も昨今活気が薄れがちであるようですが、新興市場という新たなターゲットやライヴァルの登場に対しては日本国民は「アリ」でも「キリギリス」でもいていい訳ではありません。「アリ」のようにひたむきに努力するだけでなく、ましてや「キリギリス」のように一芸のみで満足するでもなく、今まで溜め込んだ経験を生かして獰猛かつ狡猾に突き進んで欲しいですネ。マキャベリの云うように、上に立つ者は「獅子の威容と狐の狡猾さ」(だったと思います)を兼ね備えねばならないのですから、先進国はかくあるべきです。
    長文失礼しましたm(__)m

  13. ケイイチ より:

    失礼いたします。私は以前、伝統工芸の職人をしておりました。繊細でコスト度外視に近い手工業に携わってますと、いまの不況や工業の衰退が痛いほど解ります。日本企業の製造品は質感が高く精巧な工芸品の様ですね。後継者不足やコストダウンのために品質低下を余儀なくされても、工芸品はたやすく質を変えられないのです。寝食も惜しみ健康を害しても真摯に手作りにこだわり、惜しみなく技術を注ぎ込む姿勢。日本の工業技術は、まさに美術工芸の世界ともいえます。何かを成し遂げるために、自らを犠牲にしても情熱をもって匠の技を研鑽する。だからこそ善い仕事が昇華していくのではないでしょうか。 いまの日本が効率重視といって軽視しながら省いたものは人の心そのもの。 かつて・・・日本を支えた質の高さは、義務を全うする誇り高い生き様に表されていました。 コスト重視とは言っても、何を尊び何を愛するのか?希薄な人間性では見えてきません・・・誰を幸せにするための技術なのか、経済であるか?。目標に届いたと錯覚して、行き詰まる不明瞭な意識だから迷うのですね。消費は浪費となり、生かせてもらえるから、”生きようとしない”人間達が作り出す物は、それを手にして使う人々の笑顔や喜びから隔絶された無機質な世界しか構築できません。物は・・人と人を繋ぐ絆でもあります。経済だから、お金を払えばいいからと、心無き社会の喪失感に虚しさを感じていませんか?。 日本国は海外に習って(模倣)進歩してきた国情ですから、二番煎じに甘んじるか、大勝するとモチベーションが劇的に下がって柔軟さを忘れてしまう。太平洋戦争の敗因も・・そういえます。 勝って兜の緒を絞めよ・・・どころか?ノーヘル転倒の原付きバイクに成り果てます。 便利さとは、いい加減とは違います。 物は溢れていますが、使う心を伝えないために文化は低迷して破綻に向かう日本の姿です。日本の伝統は学んだ諸外国が活かし、肝腎の日本人は失っています。いづれ姿が醜いからと・・・修正した虚像を写す鏡でも作るのでしょうか??。やはり歪まない真実を求めずして未来はないのではありませんか。常に心が物を創るのです。

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